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『シン・ウルトラマン』公開!ウルトラマンがハリウッドに挑んだ超大作『ウルトラマンパワード』を知っているか?【あらすじ・見どころ・まとめ】

2022年5月13日より庵野秀明 製作・脚本、樋口真嗣 監督による映画『シン・ウルトラマン』が封切られ、現在、新たなハリウッド版『ウルトラマン』の製作企画が進行中であると伝えられるなど、「ウルトラマン」の新時代が幕を開けようとしている。

そんな「ウルトラマン」が、かつて、日本から海を渡り、映画の都・ハリウッドで、『ウルトラマン』がリメイクされていることをご存じだろうか?

ウルトラマンパワード』と銘打たれたそのヒーローは、従来のウルトラマン像を覆した異色のウルトラマンであり、まさにアメリカ人の解釈をふんだんに取り入れたものだった。
ウルトラマンパワード』とは、一体どんな作品だったのだろうか?

 

 

ウルトラマン」シリーズとは?

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ウルトラマン』は、1966年7月17日より『ウルトラQ』の後継番組として放映が開始された、円谷プロダクション製作の特撮番組における先駆者的存在である。

M78星雲光の国から地球へとやってきた宇宙警備隊隊員のウルトラマンが、地球の怪獣や宇宙からの侵略者たちと対峙し、地球の平和を守る姿が描かれた。
第1作『ウルトラマン 空想特撮シリーズ』が、1967年4月9日に放映終了後も、『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』『ウルトラマン80』などが続々と製作され、日本を代表する特撮ドラマとして、子供たちに勇気と希望を与えてきた。

それまでも不定期に製作されてきた『ウルトラマン』シリーズは、「平成」の時代に入ると、一時期休養期間に入る。
日本における新作の放送がなかった1987年に「ウルトラマン」は海を渡ることとなり、アニメ『ウルトラマンUSA』が製作。
その後、1990年にはオーストラリアにて製作された『ウルトラマンG』で、ついに本格的な海外進出を遂げたのだ。
そして、1993年についに「ウルトラマン」はハリウッドでリメイクされることになる。

 

ウルトラマンパワード』とは?

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ウルトラマンパワード』は、円谷プロダクションが全世界マーケティングを意識してアメリカ・ハリウッドに製作を発注した、一大プロジェクトだった。

国連指揮下の特別査察ネットワーク機関W.I.N.R.のカイ・ケンイチ隊員(ケイン・コスギ)が、ある宇宙任務中に、謎の光によって包まれ、ウルトラマンパワードと同化し、地球に現れる怪獣や宇宙人たちとの死闘を繰り広げるストーリーが展開された。

第1作『ウルトラマン 空想特撮シリーズ』のリメイクであり、バルタン星人やゴモラといった登場する怪獣や宇宙人は、新たなデザインが成されてはいるが、既存のものが使用された。

 

 

 

ハリウッド超大作にも引けを取らない映像表現

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ウルトラマンパワード』は、ハリウッドの総力を結集して製作された超大作であり、その映像表現には目を見張るものがある。

ウルトラマン」シリーズから大きな影響を受けたスティーヴン・スピルバーグ監督の映画『ジュラシック・パーク』(1993)を彷彿とさせる、恐竜モチーフの怪獣デザインやその登場から躍動までの一連のシークエンスに至るまで、日本よりも進歩したVFXが成されているのだ。
もちろん日本特有のミニチュアを活かした特撮も存在しているのだが、何と言っても技術力の高さには驚かされる。
さらに驚くのは、ストーリー性の高さだ。
アメリカらしく全体を通して、SF要素を強くした作風が印象的で、どこか名作海外ドラマ『X-ファイル』を彷彿とさせる。
冒頭で怪獣被害に遭う登場人物を描き、その後、特殊機関W.I.N.R.に出動要請がかかり、現場へ急行。
そして怪獣と対峙し、ピンチになったところで、ウルトラマン登場という筋書きだ。
日本の「ウルトラマン」シリーズよりも、ウルトラマンの活躍シーンというのは少なくなっている印象で、人間である程度解決してからのヒーロー登場という、なんとも健全な展開を見せるのだ。

 

主演はケイン・コスギ

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主人公カイ・ケンイチ役の日系俳優ケイン・コスギを初めとしたキャストの演技も上々で、まさに一級品のSFドラマに仕上がっている。

 

パワーレンジャー』や『仮面ライダー』など、近年、アメリカでもよく目にするようになった日本のヒーローだが、最初にハリウッド進出を果たした、日本の特撮ヒーローというのが「ウルトラマン」だった。

ウルトラマンパワード』と銘打った本作は、ハリウッドの総力を結集して製作された期待のTVドラマであったが、これがアメリカ国民にはいまひとつ受け入れられなかった。
「なぜ地球の怪獣を倒しに、宇宙人が助けに来るのか?」や「巨大化するヒーロー」といった、『ウルトラマン』が持っているコンセプトに対し、大きな疑問を生んでしまったのだ。
アメリカのヒーローというのは、スーパーマンスパイダーマンなどに代表されるように、そのほとんどが等身大のヒーロー故に『ウルトラマン』はアメリカ人の心に大きく響かなかったとみられる。

しかしながら、「ウルトラマンは子供の頃のヒーローだった」と語るハリウッドの映画監督が多いのもまた事実。
いずれにせよ、『ウルトラマンパワード』は日本国内にも根強いファンを持つ名作として、長年、ソフト化が待ち望まれてきた。
2017年には待望のBlu-ray BOXが発売されるなど、さらなる盛り上がりを見せている。
ハリウッド版『ゴジラ』が話題となっている現代だからこそ、視聴したい傑作特撮ドラマである。(文・構成:zash)

 

 

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