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【Column】同じような毎日を繰り返す‘‘社畜’’たちに贈る…『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)

2022年10月14日(金)先行公開、10月28日(金)全国順次公開となる映画『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』。近年、映画、小説、アニメなど、様々なエンターテイメントで取り上げられることが多くなっている「タイムループ系作品」であるが、本作はそのジャンルの中でも一際異彩を放った作品である。その理由に迫ってみよう。

 

 

 

 

何度も同じ一週間を繰り返している…?

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本作の舞台となるのは、とある小さなオフィス。

社員たちはクライアントから依頼された仕事をこなすために徹夜をし、オフィスで夜を明かしていた。

主人公・吉川朱海(円井わん)は、先方に提出しなければならない映像データを完成させることに躍起になるが、何度やっても上手くいかない。

仕事に追われる日々が続いているため、恋人との関係もギクシャク。さらには転職を控えている身でもあることから、気持ちに余裕がなかった。

そんな中、2人の同僚が吉川に衝撃的な事実を告げる…「僕たち同じ一週間を繰り返しています」と。

最初は信じていなかった吉川であるが、あることをきっかけにタイムループしている事実に気づかされ、なんとか抜け出す方法を模索。

どうやら、このタイムループから抜け出すためには、上司にこの事実を信じてもらうしかないようだが…。

 

 

 

「タイムループ作品」の構造

『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)© CHOCOLATE Inc.

 

そもそも「タイムループ作品」とはどういった構造の作品なのか。

基本的な形で言えば、何らかの理由により、主人公が同じ一日を何度も何度も繰り返し、抜け穴を模索していくストーリーが繰り広げられる。

簡潔に言えば、ゲームのようなもので、同じ場面を何度もプレイすることで、その攻略法を見出し、難所をクリアしていくといった感覚である。

有名なところで言えば、古くはビル・マーレイ主演の『恋はデジャ・ブ』(1993)、最近ではトム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)などが有名なところだし、アニメの観点からいえば、2022年に放送された『サマータイムレンダ』もれっきとした「タイムループ作品」である。

つまりは現在「タイムループ作品」というのはエンターテイメントの世界において、一つのジャンルとして確立されており、人々の心を惹きつけてやまない魅力であふれているのだ。

そんな時世に登場した『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』。

正直なところ、ここ数年「タイムループ作品」が量産されてきた中で、新しい可能性を見出すのはなかなか難しいだろうなと、鑑賞前は思っていた。

しかしながら、そんな心配をよそに、本作は異彩を放つことに見事成功したのである。

 

 

 

‘‘社畜’’の日常を非日常に取り入れた秀作

『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)© CHOCOLATE Inc.

 

出社して、仕事をこなして、残業して…同じようなルーティンで毎日を過ごしている社会人は非常に多い。

まるで同じ一日を何度も何度も繰り返しているかのような気持ちになることもあるだろう。

そんないわゆる‘‘社畜’’と呼ばれる社会人たちが過ごしているであろう‘‘日常’’を‘‘非日常’’の中に取り入れた作品が本作である。

本作は、「ビジネス」と「タイムループ」という決して相容れないテーマの元、身近で共感できるストーリーを描き出した、オフィス・イムループ・ムービーなのだ。

 

『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)© CHOCOLATE Inc.

 

新鮮味のない毎日に嫌気がさし、転職を本気で考えている女性を主人公に据えている点は、現代社会人にとって、とても感情移入しやすいように思う。

さらには、タイムループのトリガーとなり、唯一の解除方法が上司にあるという設定も面白く、いわば‘‘社畜’’と呼ばれる人々の上司に対する叫び声を「タイムループ」という形で表現してみせたように感じるのだ。

来る日も来る日も仕事に追われる日常を、うまく映像として切り取っており、思わず「タイムループ作品」であることを忘れて、まるで普通の社会人の日常を観ているのかと錯覚してしまうほど。

それだけ‘‘非日常’’の中に‘‘日常’’を重ね合わせることに成功した一本なのだ。

 

新鮮味のない毎日が嫌だ!私にはもっとレベルの高い職場が向いている!なんて思っている社会人は、おそらく大多数いるであろう。

しかしながら、実は同僚の助けがあってこそ良い仕事ができていたり、寛大な上司のおかげで職場環境が整っていたりすることもある。

そんな当たり前の‘‘毎日’’に気がつくことへの大切さを謳った作品である。

 

随所に‘‘笑い’’が込められたコメディ作品であると同時に、現代社会人へのメッセージも込められた映画『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)。

働き蜂のすべての日本人に観てもらいたい!(文・構成:zash)

 

 

 

作品情報

『MONDAYS/このタイムループ、 上司に気づかせないと終わらない』(2022)

10.14(金) 東京・渋谷シネクイント、大阪・TOHO シネマズ梅田、名古屋・センチュリーシネマ 先行公開

10.28(金)より全国にて順次公開

配給:PARCO

© CHOCOLATE Inc.

出演:円井わん、マキタスポーツ、長村航希、三河悠冴、八木光太郎、髙野春樹、島田桃依、池田良しゅはまはるみ

監督:竹林亮 脚本:夏生さえり・竹林亮

主題歌:lyrical school「WORLD'S END」(BOOTROCK Inc.)

上映時間:82 分

公式サイト:https://mondays-cinema.com

Twitterhttps://twitter.com/mondays_cinema

 

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