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【Column】これがファンの望んだ‘‘いつかの明日’’なのか…?『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』(2022)

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2022年3月12日より公開中のVシネクスト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』は、TVシリーズ仮面ライダーオーズ』の正統派続編である。10年もの間、‘‘いつかの明日’’を期待し続けてきたファン目線による正直な感想を綴りたい。

 

 

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仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』(2022)

 

仮面ライダーオーズ』は、2010年から2011年にかけて放映された「平成仮面ライダー」シリーズ第12作。

2011年に発生した東日本大震災当時のヒーローとして、人々に勇気と希望を与えた、そんな作品である。

あれから11年が経過し、被災地の復興が進み、当時、オーズから勇気をもらったであろう子供たちが成長し、復興の一端を担っているということもあるだろう。

そんな中で、奇しくも震災の日から11年が経過したその翌日に公開となった『仮面ライダーオーズTVシリーズの正統派続編『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』は、いろいろな意味でとても重要な作品となるわけだ。

2011年の完結から約10年…ファンは劇中で語られた‘‘いつかの明日’’がやってくるのをずっと待ち続けてきた。

そして今、まさに‘‘いつかの明日’’が実現したわけだが、果たして『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』は、どんな‘‘明日’’を見せてくれるのだろうか?

 

西暦2021年…復活を遂げたアンクが見たものは?

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時は西暦2021年。

800年の眠りから突如目覚めた欲深き古代のオーズにより、人類は絶滅の危機に瀕していた。

かつて仮面ライダーオーズ=火野映司(渡部秀)と共に戦ったグリードのアンク(三浦涼介)は、映司の声を耳にし、この世に復活を遂げる。

古代のオーズと共に復活を遂げたウヴァ、カザリ、メズール、ガメルの姿を目にしたアンクは、何が起きているのか理解できないでいた。

そして、アンクの前に姿を現した映司は、これが今の世界だと言う。

だが、そんな映司の様子もどこか普通とは違っていて…。

 

期待とは異なる邂逅

筆者は最も好きな仮面ライダー作品の一つとして、これまで『仮面ライダーオーズ』を挙げてきた。

大人へと成長していく過程で「仮面ライダー」から少し遠ざかっていた時期に、改めて「仮面ライダー」の面白さを再発見させてくれた作品だからだ。

それだけ筆者の人生において『仮面ライダーオーズ』はとても大切な作品であり、‘‘いつかの明日’’すなわち続編が製作される日を、この10年、ずっと待ち続けてきた。

仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー』(2017)で映司とアンクのコンビが復活した際には劇場でボロ泣きしたほどだ。

そんな筆者は今回の「復活のコアメダル」に対して、多大な期待感を抱いていたことは言うまでもない。

しかしながら、始まって数分で、若干の違和感を覚えることになる。

まず、人類とグリードたちが終末世界で戦いを繰り広げているというストーリー。

正直なところ、10年の時が経過したことで、泉比奈と信吾の兄妹、後藤と伊達のコンビ、果ては知世子さんがどんな‘‘明日’’を過ごしているのか、その物語を期待していたのに対し、まさかのパラレルワールドであるかのような「終末世界」が描かれており、予想だにしない邂逅を果たすことになったのだ。

それでいて、古代オーズがいかにして復活を遂げたのかという部分にも言及されていない始末…。

さらには、主人公であるはずの映司も映司であって映司ではない…本作を鑑賞するにあたって、もっとも期待していたのは、誰もが映司とアンクの共闘だったはず…その期待が見事なまでに打ち崩される形となるのだ。

 

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もともと『仮面ライダーオーズ』は映司とアンクのW主人公構造で出来ているという印象を持っており、奇しくも改めてそれが証明されたのだが、どうにも歯がゆい気持ちを拭い去れない展開が続いていくことになるのだ。

TVシリーズの物語が終了してから10年、火野映司は、盟友アンクと再び会える日を目指して、旅を続けてきた。

その旅路の終着駅がまさかこんな展開になってしまうとは…筆者の個人的な意見としては、この10年いや火野映司がオーズの力を手にしてからの時間は何だったのか?と言わざるを得ない。

ラストの展開は火野映司という人の持つキャラクター性や『仮面ライダーオーズ』という作品の持つ独自性ということを考えれば、一つの妙案だったかもしれない。

それでも、まさかこんな結末が待っていると、10年前に誰が予想できただろうか?

 

 

 

仮面ライダーは永遠に戦い続ける人

例え「完結編」と題され物語が終わりを迎えたとしても、仮面ライダーもといヒーローの旅路は永遠に続くものなのだ。決して‘‘終わり’’を迎えてはならないのだ。

古い考え方かもしれないが、人々の心の中には、思い出に残る憧れのヒーローがいる。ヒーローから勇気や夢をもらうことで、生きる希望となるのだ。

ましてや、11年前の震災時のヒーローが、このような末路を辿ることが許されるのか?

当時、希望をもらった人々の気持ちを蔑ろにしても良いのか?

作品として世に出回ることがなくても、世界のどこかで仮面ライダーオーズ=火野映司が戦い続けているという‘‘想像’’を届けることも、ヒーローとしての宿命なのではないだろうか?

少し熱くなり過ぎたが、これが『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』への正直な感想。

もしかしたら、ヒーローは永遠ではないということを伝える現代らしいメッセージを纏っているのかもしれない。

しかし、筆者はそんな考えに納得ができない…。

 

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オリジナルキャストのカムバック、TVシリーズ名場面とリンクさせたシーンなど、ファンを喜ばせる演出もあるのだが、鑑賞後にすごく寂しく悲しくなったのもまた事実。

エンドロールで流れる‘‘Anything Goes!’’は、歌詞とは正反対の印象を与えることになる。

‘‘いつかの明日’’…これがオーズの伝えたい‘‘未来’’、そして紡いできた物語がここに帰結するのであれば、『仮面ライダーオーズ』を嫌いになってしまいかねない。

まさかこんな感想を抱くことになるとは思いもしなかった…執筆している今も、作品の内容を思い出すのが辛いぐらいだ。

仮面ライダーオーズ』は命の尊さを説いた。

TVシリーズ最終回で伝えられたメッセージとは、遠くかけ離れているのではないだろうか…。(文・構成:zash)

 

 

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