『ヴァイキング ～海の覇者たち～』『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』圧倒的存在感を放つトラヴィス・フィメルってどんな人？【プロフィール・出演作・まとめ】
『ヴァイキング ～海の覇者たち～』でラグナル役を演じ、俳優としての成功を手にしたトラヴィス・フィメルは、現在、リドリー・スコット製作総指揮による超大作SFドラマ『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』で圧倒的な存在感を放っている。かつてモデルとしても大きな成功を収めた彼の俳優道に注目する。
- プロサッカー選手としての成功を目指すも挫折…ショービジネスの世界で再起をかける
- 名優パトリック・スウェイジの相棒を演じた幻の海外ドラマ
- 『ヴァイキング』と『レイズド・バイ・ウルブス』での成功
- 映画情報番組『What's Up Hollywood』YouTubeで更新中！
『エイリアン』（1979）や『ブレードランナー』（1982）で有名な巨匠リドリー・スコットが製作総指揮を務め、メガホンをとった、話題の超大作海外ドラマ『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』。
アンドロイドと人間による戦いの火ぶたが切って落とされる同作の中で、ひと際存在感を放っている俳優がいる。
壮絶な過去を背負うミトラ教徒のマーカス役を演じているトラヴィス・フィメルだ。
かつて歴史ドラマ『ヴァイキング ～海の覇者たち～』で人気を博した‘‘あの人’’は、久しぶりに海外ドラマの世界に帰ってきても、当時と全く変わらぬ圧倒的な存在感を放っている。
ほかの作品ではあまり見かけることがない‘‘謎多き’’俳優でもあるトラヴィス・フィメルのキャリアに迫る！
プロサッカー選手としての成功を目指すも挫折…ショービジネスの世界で再起をかける
トラヴィス・フィメルは、1979年7月15日オーストラリア・ヴィクトリア州エキューガにて、三兄弟の末っ子として生を受けた。
5500エーカーの酪農場で育ったトラヴィスは、オーストラリアの大自然で逞しく成長し、いつしかプロのサッカー選手を目指すほどになっていた。
オーストラリアのプロリーグでプレーすることを望んだトラヴィスはメルボルンへと移り、夢への第一歩を踏み出すが、シーズンが始まる直前に足を骨折。
そのままサッカー選手の夢は潰えることになってしまう。
そんなトラヴィスを救ったのが、モデル業だった。
もともと身長も高く、スタイルも抜群だったトラヴィスは、トレーニング中にジムでスカウトされ、モデルの世界に飛び込むことを決意。
カルバン・クラインの広告で一躍有名になる。
トラヴィスの鍛え抜かれた肉体美がブランドの下着のイメージにピッタリだったことから起用されたのだが、いざ、その広告が街中のビルボードに掲げられると、道行く女性たちの目を釘付けにしたという。
当時の逸話としては、女性ドライバーたちがその広告に目を奪われ、渋滞が起きてしまい、ロンドンにあった看板の一つを撤去せざるをえなくなったというものがあるほど。
この噂がインターネット上で大きな話題となり、一躍時の人となったのだ。
2002年にはピープル誌の「世界で最もセクシーな独身者」の一人に選出され、「世界で最も需要の高い男性モデル」の称号までも手にした。
アメリカでも多数のトークショーに出演するなど、モデルとしてこれ以上ないほどの成功を収めたトラヴィスだったが、次第に演技の道を志すようになっていく。
俳優としての新たな挑戦が幕を開けることになるのだった。
名優パトリック・スウェイジの相棒を演じた幻の海外ドラマ
俳優として活躍することを夢見たトラヴィスは、2年もの時間をかけて演技レッスンを受け続け、オーディションに挑戦するだけの実力と勇気を養っていった。
こうして2003年に米The WBで放送開始となったTVドラマ『Tarzan（原題）』でタイトルロールを演じることになり、見事な俳優デビューを飾ったのだ。
劇中ではほとんどのスタントを自らこなすなど、身体能力の高さを証明。
俳優としての道を歩み始めたトラヴィスは、テリーサ・パーマーと共演したオーストラリア映画『氷の素肌 ネイキッド・シンドローム』（2008）やマシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソンら名だたる名優たちと共演した『Surfer,Dude（原題）』（2008）などで経験を積み、2009年、米A＆Eで放送開始となったクライム・アクション『BEAST』の主要キャストに抜擢される。
その型破りな捜査方法から‘‘ビースト’’の異名を持つFBI捜査官のチャールズ・パーカーを主人公とする同作で、彼の元に配属されてくる新米エージェントのエリス役を演じたのがトラヴィスだ。
『ゴースト/ニューヨークの幻』（1990）などで知られる名優パトリック・スウェイジの遺作となった作品であり、同作の製作中に病状が悪化してしまったことから1シーズン限りで打ち切りになってしまったのだが、ハリウッドを代表する名優であるスウェイジと見事に渡り合ったトラヴィスの演技は非常に素晴らしかった。
スウェイジ演じるビーストの内部調査を依頼されたダブルエージェントという役どころで登場するキャラクターを見事に演じ切ったのだ。
その佇まいからはカリスマ性すら感じさせ、俳優としての将来を大いに感じさせるものだった。
『ヴァイキング』と『レイズド・バイ・ウルブス』での成功
その後、ハリウッドを活動の拠点としたトラヴィスは、ジェリー・ブラッカイマー製作のTVドラマ『CHASE チェイス/逃亡者を追え！』、実際の「スタンフォード監獄実験」を基にしたスリラー『エクスペリメント』（2010）、ビリー・ボブ・ソーントン主演のアクション・コメディ『ギャングバスターズ』（2012）などに出演。
2013年にはカナダのヒストリー・チャンネルが製作する歴史大作ドラマ『ヴァイキング ～海の覇者たち～』に主演。
この作品がトラヴィスのキャリアに転機をもたらす。
8世紀のスカンジナビアを舞台に、新天地を求めて未知の海域に挑戦する若きヴァイキングの姿を描いた同作で、トラヴィスはデンマーク・カテガットの元農民で、ヴァイキングで初めてイングランドを襲撃した戦士ラグナル・ロズブローク役に扮した。
伝説的な英雄である同役を抜群の存在感とカリスマ性で体現したトラヴィスは、高い評価を受け、世界的な名声を獲得。
俳優として大きな成功を手にしたのだ。
同作には2017年までの間に計45エピソード出演し、作品の成功を後押しする活躍を魅せた。
2016年には同名の大ヒットTVゲームを原作とするファンタジー映画『ウォークラフト』に主演し、映画界での活躍に大いに期待感を抱かせた。
しかしながら、トラヴィスは2020年、再びTV界にカムバックを果たす。
巨匠リドリー・スコット製作総指揮による超大作SFドラマ『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』に主要キャストの一人としてキャスティングされたのだ。
同作は、2体のアンドロイドが未知の惑星に着陸することから幕を開ける。
遠い未来、人間とアンドロイドによる戦争が勃発し荒廃した世界。
マザーとファーザーと呼ばれる2体のアンドロイドは、人間の子供を作り、育てることで、神々を崇めない信仰のない世界を作ることを目指していた。
しかし、未知の惑星での生活は困難を極め、次々と子供たちは病死してしまう。
そんな中で生き残った末っ子のキャンピオン（ウィンタ・マクグレイス）を育てるマザーとファーザーの前に、ある日、人間であるミトラ教徒たちが姿を現す。
ミトラ教徒はアンドロイドを良く思っていない者たちであり、一触即発の事態に陥ってしまう・・・。
トラヴィスは人間側であるミトラ教徒の主要人物として据えられたマーカス役を演じている。
実は過去に整形によって顔を変えたという驚愕の真実が明らかになる役どころなのだが、大きな‘‘何か’’を背負った演技がとても印象深い。
トラヴィスの圧倒的な存在感が終始際立っており、『ヴァイキング ～海の覇者たち～』で魅せた決意みなぎる表情の数々を本作でも大いに見せつける。
作品全体を支配した貫禄の演技と言っても良いだろう。
物語が進むにつれて、大きな変化を遂げていくキャラクターでもあり、クライマックスでは悪役然としてなりふり構わない狂気的な演技も披露している。
若かりし頃はまだまだ未熟な演技が目立っていたトラヴィスだが、数多くの経験を通じて、ベテラン俳優らしい奥深い演技を魅せるようになった。
『BEAST』に出演していた頃から見ているファンとしては、成長した子供を見ているかのような感覚である。
『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』での演技が足掛かりとなり、今後もたくさんの作品で、トラヴィス・フィメルの勇姿を堪能したいものだ。（文・構成：zash）
映画情報番組『What's Up Hollywood』YouTubeで更新中！
