【Column】目覚めたら隣で死体が寝てました…予測不能のフライト・サスペンス『フライト・アテンダント』
2022年5月25日リリースのHBO Maxオリジナル最新作『フライト・アテンダント』は、一見するとラブコメのような雰囲気を醸し出しながら、突如、首を掻っ切られた死体の登場でサスペンスフルな展開へと持ち込む斬新な作品である。あれよあれよという間に、雰囲気がガラリと変わる本作の魅力に迫る！
- 奔放なフライトアテンダントを襲った悲劇…
- 異色のラブコメ風サスペンス
- ケイリー・クオコが魅力的なヒロイン像を体現！
- リリース情報
- 『フライト・アテンダント』関連記事
- 映画情報番組『What's Up Hollywood』YouTubeで更新中！
『ゲーム・オブ・スローンズ』や『チェルノブイリ ー CHERNOBYL ー』といった世界に衝撃を与えた話題作を数多く世に送り出してきたアメリカのケーブルTV局HBOが、2020年より動画配信サービスに参入。
HBO Maxと名付けられた‘‘黒船’’が、いま、海外ドラマファンから熱視線を浴びている。
巨匠リドリー・スコットが手掛けた超大作SFドラマ『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』やアナ・ケンドリック主演の『LOVE LIFE』、4時間越えの大長編DC映画『ジャスティス・リーグ：ザック・スナイダーカット』（2021）もまたHBO Maxオリジナル作品である。
まさに名だたる動画配信サービスがしのぎを削る群雄割拠の時代の中で、ここにきて、新参者のHBO Maxが大きな追い上げを見せている現状なのだ。
そんなHBO Maxから、また新たな傑作が日本上陸を果たした。
『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』のケイリー・クオコが主演を務めるスタイリッシュ・サスペンス『フライト・アテンダント』である。
奔放なフライトアテンダントを襲った悲劇…
『フライト・アテンダント』の主人公は、世界を飛び回る国際線のフライトアテンダントであるキャシー（ケイリー・クオコ）。
その自由奔放な性格から、行く先々で遊び放題の日々を送っていた彼女が次に向かう目的地は、バンコク。
フライト中に出会ったイケメンな乗客アレックス（ミキール・ハースマン）と意気投合したキャシーは、到着後、彼と食事に出かけ、ホテルで一夜を共にしてしまう。
最高の一夜を過ごしたキャシーであったが、これが悪夢の始まりとなってしまう…。
翌朝、目覚めると、隣で寝ていたのは、首元を掻っ切られたアレックスの死体だったのだ。
昨夜の記憶が一切ないキャシーは、本能の赴くままに部屋を片付け、すぐさま帰国便へと乗り込むが、彼女の脳裏には常にアレックスの死体がチラつき、なんとか記憶を取り戻そうと躍起になる。
次第に、キャシーはFBIから目を付けられるようになり、あろうことか殺人の容疑者として疑われ始めるのだった…。
異色のラブコメ風サスペンス
『フライト・アテンダント』は、一見、何の変哲もないラブコメ・ドラマのような様相を呈する。
まるで『セックス・アンド・ザ・シティ』の「フライトアテンダント版」とでも言うかのように、オープニングでは自由奔放な主人公の過激な恋愛劇が中心にある作品なのではないかと思わせる雰囲気を醸し出す。
しかし、その雰囲気がガラリと変わる瞬間がある。
その瞬間とは、キャシーがある乗客と一夜を共にし、翌朝目覚める場面だ。
ラブコメでは絶対に目にしないようなバイオレンスな光景が突如として広がり、一転、サスペンスフルな展開へと持ち込まれていく。
そこからはあまりにも衝撃的な展開の連続で、物語についていくのがやっとであり、そこかしこに散りばめられた伏線を探し出すのも一苦労。
全速力でマラソンをしたかのような状態で、1エピソード1エピソードを観終えることになる。
久しぶりにここまで面白い海外ドラマを観たというのが、率直な感想だ。
常にアドレナリン放出状態で視聴してしまうこと請け合いである。
本作の面白い点は、主人公キャシーが置かれた状況を俯瞰しながら、視聴者も一緒になってキャシーの記憶の断片を辿っていくところにある。
登場人物の誰もかれも怪しい状況下で、真実を探っていく様が非常に小気味いいのだ。
英語には‘‘Go Down the Rabbit Hole’’ウサギの穴に落ちる、もしくは入るという表現がある。
これは本来の目的から逸れてしまい、なかなか抜け出せない様のことを指すが、まさにその言葉を具現化したかのようなストーリーが繰り広げられる。
オープニングクレジットでキャシーが真っ逆さまに落下していく描写や物語のキーポイントで‘‘ウサギ’’を使っている点など、要所で‘‘ウサギの穴’’を連想させるのもまた見事。
全体を通して、非常に入り組んだ構成で、視聴者を主人公と同じ目線に立たせる描写が大変秀逸な作品である。
ケイリー・クオコが魅力的なヒロイン像を体現！
主人公キャシー役に扮するのは、大ヒットコメディ『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』ペニー役で人気を博し、People’s Choice Awardsに4年連続ノミネート、2回受賞の経歴を持つ、ケイリー・クオコ。
比較的コメディの印象が強い彼女であるが、実はキャリア初期には『プリズン・ブレイク』などでシリアスな役柄を演じていた経験もある。
その頃から表情の作り方が上手いなとは思っていたが、本作でもシリアスとコメディを緩急自在に使い分けた演技を披露。
鬼気迫る表情の数々はスリリングな場面で際立ち、作品の持つラブコメ的な要素を彼女のコミカルな演技が助長させる役割を果たしている。
「もしも、ラブコメの主人公が殺人事件に巻き込まれたら？」というテーマ性を感じさせる存在感を放っているのだ。
そんなケイリーの相手役となるアレックス役を演じるのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』ダーリオ・ナハリス役で印象を残したミキール・ハースマン。
第1話の冒頭で殺されてしまうキャラクターなのだが、それでも、その後のキャシーの回想や空想の中にたびたび登場。
イケメンであることを自虐的に捉えたかのような演技は見事なもので、新境地を開拓した印象を受ける。
実は本作で最も重要なキーパーソンであるため、終始、目が離せない存在である。
そのほかにも、『グレイズ・アナトミー』のT・R・ナイト、『GIRLS/ガールズ』のザーシャ・マメット、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』（2020）のロージー・ペレスなど、映画や海外ドラマでおなじみのキャストが顔を揃えている。
シリアスなテーマを扱いながらも、全体的にラブコメ的な雰囲気も醸し出した、異色作『フライト・アテンダント』。
『LOST』や『MANIFEST/マニフェスト』に代表されるところの「飛行機」から始めるドラマにハズレなしとはよく言ったもので、本作も例外ではない。
久しぶりにドハマりしてしまう海外ドラマに出会ってしまった…！
『フライト・アテンダント』は、5月25日リリース！（文・構成：zash）
リリース情報
「フライト・アテンダント＜シーズン１＞」
5/25ダウンロード販売・デジタルレンタル配信開始、DVDレンタル開始
発売元：ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元：NBC ユニバーサル・エンターテイメント
©2022 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.
※R-15
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