【Column】最強クロエちゃんカムバック！一本で二度おいしい映画『シャドウ・イン・クラウド』（2020）
『キック・アス』シリーズのクロエ・グレース・モレッツ主演最新作『シャドウ・イン・クラウド』が、2022年4月1日より全国ロードショーとなる。1980年代の古き良き時代のハリウッド映画を思い起こさせる痛快エンターテイメントだ！
‘‘グレムリン’’と呼ばれるモンスターを知っているだろうか？
え？グレムリン？あの可愛い奴でしょ？
多くの人が1984年に公開されたジョー・ダンテ監督の映画『グレムリン』に登場したギズモを思い浮かべるだろう。
しかしながら、本来の‘‘グレムリン’’という空想上のモンスターはあんなに可愛らしいものではない。もっと不気味で、もっと気色悪い生き物なのだ。
そもそも‘‘グレムリン’’というモンスターは都市伝説などに登場するネス湖のネッシー的なもので、飛行機にイタズラをする妖精である。
第一次世界大戦時に英国空軍によって目撃、報告されたことを皮切りに、1942年の第二次大戦時頃からおとぎ話などの物語として世界中で語られるようになった。
電気系統にあらゆる不具合を起こすモンスターとして知られ、これがきっかけで後に機械やコンピュータが原因不明の異常を起こすことを‘‘グレムリン効果’’と呼ぶようになったのだ。
そんなグレムリンによる上空での恐怖を描いた作品が『シャドウ・イン・クラウド』である。
高度2500メートルの恐怖！
物語の舞台となるのは、第二次世界大戦中の1943年。
空軍の女性大尉であるモード・ギャレット（クロエ・グレース・モレッツ）は、上官からの命令で、‘‘最高機密’’を運搬する任務を帯び、フールズ・エランド号と呼ばれるB-17爆撃機へと乗り込む。
究極の男社会の縮図とでも言うべき機内で、なんとか‘‘最高機密’’を守ろうとするモードであったが、爆撃機が高度を上げていく中で、世にも恐ろしい大空の魔物・グレムリンを目撃することになるのだった…。
一本で二度美味しいとはまさにこと！
本作は、1961年のリチャード・マシスンによる短編『二万フィートの戦慄』や映画『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』（1983）のジョージ・ミラーがメガホンをとった一編からの影響が強いように感じる中で、グレムリンという怪物が広く知られるようになった第二次大戦下の世界を舞台とした物語が展開される。
前半は主に謎多き女性将校が爆撃機に乗り込み、そこで繰り広げられる会話劇で焦燥感を煽り、後半になると雰囲気がガラリと変わり、まるでガールズ・アクションを見ているかのような壮絶な活劇が繰り広げられる。
一本の映画で二度美味しいとは、まさにこのこと！
特に後半のアクションシークエンスにおけるカメラワークとスタイリッシュな音楽の掛け合わせが素晴らしい。
脚本という点においては1980年代のアクション映画のような良い意味での軽いノリは大いに感じさせるのだが、そこもご愛嬌！決して嫌いではない！
なんせ零戦が爆発した爆風で窮地を脱するなんていう場面もあるのだから！
最強クロエちゃん、カムバック！
本作で主演を務めるのは、かつて人気子役として名を馳せた、クロエ・グレース・モレッツ。
少し見ない間に大人びた雰囲気を醸し出すようになっていて驚いたというのが正直なところだ。
クロエと言えば、『キック・アス』シリーズのヒットガール役が有名であるが、まさに本作のクロエはヒットガールを彷彿させるほどの華麗なアクションと逞しさを発揮している。
さらにマッチョになった、最強クロエちゃん、カムバック！といったところ。
『イコライザー』（2014）、『フィフス・ウェイブ』（2016）、『ネイバーズ2』（2016）といった様々なジャンルの作品で経験を積んできた実力を遺憾なく発揮しており、今回のモード役はクロエにしか体現できないとさえ思わせるほどの好演である。
一つ言えることは…母は強し！ということだ！
モードが運ぶ‘‘最高機密’’とは一体何なのか？
驚愕の真相が明らかになった時、モードは覚醒するー。
不気味すぎるグレムリンの姿を、劇場で確かめよう！
『シャドウ・イン・クラウド』は、2022年4月1日（金）新宿ピカデリーほか全国公開！（文・構成：zash）
作品情報
監督：ロザンヌ・リャン 出演：クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、ビューラ・コアレ、テイラー・ジョン・スミス
2021年／ニュージーランド・アメリカ／英語／カラー／SCOPE／5.1ch／83分／原題：SHADOW IN THE CLOUD
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