【Column】未来とは想定外の連続…それでも愛おしい『カモン カモン』(2021)
2022年4月22日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショーの映画『カモン カモン』は、近年、傑作を数多く世に送り出しているA24製作、『人生はビギナーズ』(2010)や『20センチュリー・ウーマン』(2016)のマイク・ミルズ監督によるヒューマン・ドラマ。観終わった後には、人生の価値観がガラリと変わること請け合いの一本である。
- 突然始まった甥っ子との共同生活
- 「未来」「人生」とは何か?
- ‘‘カモン カモン’’のタイトルに込められた意味
- 個性派俳優ホアキン・フェニックスの優しい演技
- 作品情報
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突然始まった甥っ子との共同生活
「未来」「人生」とは何か?
‘‘カモン カモン’’のタイトルに込められた意味
本作のタイトルにある『カモン カモン』の意味とは何なのだろうか?
原題にある『C’MON C’MON』には‘‘先へ 先へ’’という意味がある。
劇中で9歳の少年・ジェシーの口から発せられる言葉なのだが、そのタイトル回収もまた非常に秀逸。
未来とは、想定外のことが起きるものなのだ。だから先へ進むしかない。どんどん先へ…。
劇中で登場人物たちが置かれた状況とリンクさせるセリフ回しであると同時に、観ているオーディエンスへと向けた言葉でもある印象を受ける。
きっと誰しもが「人生は不公平だ」と感じたことがあるだろう。何事も思い通りにいかないことが多いからだ。
でも、それが「人生」というものなのだ。「未来」は誰も予想できない。良いこともあれば、悪いことだってある。それでも、先へ先へ進むしかない。
そのすべてが愛おしいことなのだ。
個性派俳優ホアキン・フェニックスの優しい演技
主人公ジョニー役に扮するのは、個性派俳優ホアキン・フェニックス。
ホアキンと言えば、『ジョーカー』(2019)のタイトルロールに始まり、『ザ・マスター』(2012)のカルト教祖、『インヒアレント・ヴァイス』(2014)の個性派探偵など、クセの強いドギツイキャラクターを多く演じている俳優である。
また、かつては私生活でも奇行が目立ち、根っからの個性的な人というのが正直な印象だ。
しかしながら、本作のホアキンはいたって普通の男を演じて魅せる。
その狂気に満ちたおなじみの表情は封印し、甥っ子との共同生活に四苦八苦しながらも、その愛おしい時間を大切にしようとする男を優しく演じ切っているのだ。
改めて、ホアキン・フェニックスという俳優の演技幅を感じさせる好演だったと言えるだろう。
モノクロームで描き出される、珠玉のヒューマン・ドラマ『カモン カモン』。
「未来」というものを考えさせられ、「人生」に対する価値観が大きく変わる作品である。
映画『カモン カモン』は、4月22日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー。(文・構成:zash)
作品情報
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